先日、顧問先より、
「テナントから代表者を変更したいと言われたのですが、会社が変わるようですし、簡単に認めてしまってもよいのでしょうか。」
という質問を受けました。
そもそも民法612条において、賃借権について無断転貸や譲渡が禁止されています。
賃借人が賃貸人に無断で賃借権を譲渡したり、賃借物を無断転貸した場合には、賃貸人としては、賃貸借契約を解除することができる場合があります。
テナントが法人の場合において、代表者が変更したり、株主構成が大きく変わった場合には、法人の従来の属性や性質についても大きく変わってしまうことがあります。
このように代表者や資本構成が変更された場合において、賃借権の譲渡や転貸に該当すると判断されることはあるのでしょうか。
結論から言えば、単に代表者が変更されただけでは原則として該当しないものの、役員が全員変更したり、株主の過半数が変更になるなど、実質的に変更と評価できる場合には、賃借権の譲渡や転貸に該当する場合があると言われています。
最判平成8年10月14日においても、「会社との間で賃貸借契約を締結する際に、賃借人が賃貸人の承諾を得ずに役員や資本構成を変動させたときは契約を解除することができる旨の特約をするなどの措置を講ずることができる。」として、同特約の有効性を認めています。
そのため、不動産オーナーとしては、代表者や資本構成の変更に基づく解除権についても、実際に行使するか否かは別として、権利として条項化しておくことが重要と言えます。
但し、上記特約に違反すれば直ちに契約解除できるわけではなく、信頼関係破壊の程度も考慮される点にも注意が必要です。
以上の注意点をまとめますと、まずは賃貸借契約書を作成する際に、代表者や資本構成の変更時に解除できる旨の特約をしておくことが重要ですし、加えて実際に解除できるか否かという判断時においては信頼関係破壊の程度も重要になるとお考え下さい。
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弁護士 鈴木 謙吾
東京弁護士会
この記事の執筆者:弁護士 鈴木 謙吾
慶應義塾大学法学部卒。2005年に鈴木謙吾法律事務所を開設後、不動産関連の相談を多く受け持つ。 現在は50社以上の顧問先を抱え、慶應義塾大学法科大学院の非常勤教員を10年以上務めたほか、上場企業の社外取締役監査等委員としての業務も兼任している。


