2022.06.30

賃料不減額特約

先日、不動産オーナーである顧問先より、

「土地を貸しているのですが、借地人より借地権譲渡の承認を求められています。どのように対応したらよいでしょうか。」

とのご質問を受けました。

一定の期間について賃料を「増額しない」旨の特約は有効ですが(借地借家法32条1項但書)、賃料を「減額しない」特約の有効性については法的には規定がありません。
この点、土地又は建物の価格の変動、経済状況の変化等に基づき、不相当な金額になった場合には、賃料不減額特約の効力が否定されるものと考えられます(借地借家法32条1項本文)。
その場合、賃料不減額特約を定めたとしても、賃借人からの賃料減額請求を防ぐことはできません。

もっとも、賃貸借契約の中には、賃借人の指定する仕様により賃貸人が建物を建築してする賃貸借、いわゆるオーダーメイド型の賃貸借もあります。
この場合、賃貸人は汎用性が限定されている建物を当該賃借人のためだけに建築しており、他の賃借人に賃貸することは困難であり、その投下資金を回収するリスクを負っているため、賃借人からの賃料減額請求は認められないのではないかとの問題意識が生じます。
この点、オーダーメード賃貸の場合には、上記のような事情を考慮して、賃料減額を制限する特約の効力を認めた裁判例はあります(東京高判平成15年2月13日)。
但し、オーダーメイド賃貸であれば、常に賃料減額が制限されるわけではない点についても注意が必要です(最判平成17年3月10日)。

なお、定期借家契約の場合には、賃料不増減額特約も有効であると考えられます(借地借家法38条7項)。

弁護士 鈴木 謙吾

弁護士 鈴木 謙吾

東京弁護士会

この記事の執筆者:弁護士 鈴木 謙吾

慶應義塾大学法学部卒。2005年に鈴木謙吾法律事務所を開設後、不動産関連の相談を多く受け持つ。 現在は50社以上の顧問先を抱え、慶應義塾大学法科大学院の非常勤教員を10年以上務めたほか、上場企業の社外取締役監査等委員としての業務も兼任している。