2017.10.27

貸借契約の根保証(民法改正)

今回は、賃貸借契約の根保証(民法改正)についてです。

平成29年5月に民法改正法案が成立し、同6月に公布されました。
前回は「定型約款」について説明しました。
今回は、特に賃貸借契約の保証契約時に重要となる「根保証制度」の改正について説明します。

「根保証」とは、一定の範囲に属する不特定の債務を全て保証する制度であり、賃貸借契約における保証人が代表例です。
根保証人を保護する制度として、貸金契約の根保証人は従前から存在していましたが、今回の民法改正により、一般の根保証人についても保護制度が導入されました。
以下、概略を説明します。

まず、賃貸借契約と同時に根保証契約を締結するにあたり、根保証の限度である「極度額」を「書面等」で定める必要があります。
極度額を書面で定めない限り、根保証人との保証契約は無効になります。
極度額は具体的な金額で定めるのが原則ですが、賃料が明確に定められていれば、賃料○ヶ月分との記載方法でもよいとされています。

次に、賃貸借の根保証人についても、「元本確定事由」が定められました。
「元本確定事由」とは、ある事由が発生した場合、その後、根保証人は主債務について責任を負わないという制度です。
そして、「元本確定事由」で最も重要なのが「主たる債務者又は保証人が死亡したとき」という新規定です。

これまでは賃借人や保証人が死亡しても、相続人が賃貸借契約や根保証契約を引き継ぐことから、根保証人は保証債務を負い続ける制度になっていました。
しかし、今回の改正により、賃借人死亡後、保証人は、賃借人死亡後に発生する賃料債務等について責任を負わない、保証人死亡後、保証人の相続人は、死亡後に発生した債務について責任を負わないことになります。
上記規定は、保証人保護のための「強行法規」と解されるので、特約等での排除ができない点にも注意が必要です。

最後に、改正法の施行前に締結された賃貸借契約について、改正法施行後に更新を迎える場合、従前の保証契約がどうなるかは現時点では明確にされていないようです。
しかし、保証契約が無効とされる可能性を考慮すれば、施行後の賃貸借契約更新にあたっては、上記極度額条項を明記した上で、保証人との合意を得ることを現時点ではお勧めします。

以上の通り、保証制度については、大きな改正がありましたので賃貸借契約に伴う保証契約を締結する際には十分に注意することが必要です。

弁護士 鈴木 謙吾

弁護士 鈴木 謙吾

東京弁護士会

この記事の執筆者:弁護士 鈴木 謙吾

慶應義塾大学法学部卒。2005年に鈴木謙吾法律事務所を開設後、不動産関連の相談を多く受け持つ。 現在は50社以上の顧問先を抱え、慶應義塾大学法科大学院の非常勤教員を10年以上務めたほか、上場企業の社外取締役監査等委員としての業務も兼任している。