2018.10.25

保証会社の弁済と不動産賃貸借解除

先日、不動産ソリューションフェアが東京ビッグサイトで開催され、パネリストとして登壇しました。

第20回不動産ソリューションフェア見どころ紹介パネルディスカッション「民法改正と保証会社活用の注意点」

同フェアでのトピックとして、大阪高裁平成25年11月22日がありました。

同裁判例の事案では、賃貸人が賃借人に対して、賃料不払に基づく債務不履行解除を求め、保証会社が未払賃料5か月分を代位弁済していました。
一般的に考えれば、保証人の補填によって、賃借人の賃料不払いが解消されて、債務不履行解除は認められないことになりそうです。
しかし、同裁判例においては、保証会社による代位弁済があっても賃料不払いの事実は消えないとして、賃借人を敗訴させました。

保証会社の支払であるため、問題の所在が分かりにくいのですが、親族の親が連帯保証人であった場合にも、上記裁判例の結論が妥当すると言えるでしょうか。
親が子供に代わって賃料を支払った場合には、保証人としての代位弁済というよりも、まさに賃料を直接支払ったことと実質的には変わらないとも言えるからです。

他方、賃貸人からすれば、保証会社から家賃相当分が支払われる限り、損害がないと言えそうです。
しかし、保証会社の立場からすれば、不動産賃貸借契約が継続する限り、対賃借人のためにいつまでも保証しなければならないというのも合理性を欠くとも言えます。

民法改正に加えて、高齢化社会や核家族化も進んでいることから、「賃料保証会社」は今後社会的にも必要性が高くなるとも言われています。
また、大阪高裁の考え方については、結論としては妥当であり(賃借人の12ヶ月滞納等の事実があった)、信頼関係破壊の法理と同様の考え方に基づいたのではないかという指摘もあります。

明確な線引きは難しいのですが、大阪高裁の裁判例は重要なものとして意識しつつも、今後同じような全ての事案に結論が妥当するとも言えない点には十分に注意が必要です。

弁護士 鈴木 謙吾

弁護士 鈴木 謙吾

東京弁護士会

この記事の執筆者:弁護士 鈴木 謙吾

慶應義塾大学法学部卒。2005年に鈴木謙吾法律事務所を開設後、不動産関連の相談を多く受け持つ。 現在は50社以上の顧問先を抱え、慶應義塾大学法科大学院の非常勤教員を10年以上務めたほか、上場企業の社外取締役監査等委員としての業務も兼任している。