2019.07.23

相続分を超える不動産登記(2019年7月改正)

今回は、「相続分を超える不動産登記(2019年7月改正)」についてです。

先日、不動産関連の顧問先より、

「既に死亡している方の不動産を相続登記する際に注意する点はありますか。」

との相談を受けました。
この点、相続人の登記について、2019年7月に法改正がありましたので、十分な注意が必要です。

ご参考までに、法改正前は裁判所において以下のように考えられていました。

例えば、相続人が2人の子である場合に、自宅の土地建物を長男に全て相続させる遺言があったとします。
最判平成14年6月10日は、いわゆる「相続させる」旨の遺言について、遺言により不動産を取得した者は、特段の事情がない限り、登記なくしてその権利を第三者に対抗できるとしています。

具体的には、上記例の長男は、自宅の土地建物について登記がなくても第三者に対抗することができました。
上記以外にも相続を原因とする権利の取得方法はありますが、裁判所は、権利の取得方法によって登記の要否が左右される判断を示していました。

しかし、2019年7月施行の改正によって、権利の取得方法にかかわらず、一律に相続分を超える部分については、登記がなければ第三者に対抗できないとされました。
具体的な条文は以下の通りです。

「相続による権利の承継は、遺産の分割によるものかどうかにかかわらず、次条及び第九百一条の規定により算定した相続分を超える部分については、登記、登録その他の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗することができない」(民法第899条の2第1項)

上記改正法は2019年7月から施行されていますので、今後相続発生時に相続分を超える権利を承継する場合には、第三者に対抗するためにも、早めに登記することが不可欠と考えておくべきでしょう。

弁護士 鈴木 謙吾

弁護士 鈴木 謙吾

東京弁護士会

この記事の執筆者:弁護士 鈴木 謙吾

慶應義塾大学法学部卒。2005年に鈴木謙吾法律事務所を開設後、不動産関連の相談を多く受け持つ。 現在は50社以上の顧問先を抱え、慶應義塾大学法科大学院の非常勤教員を10年以上務めたほか、上場企業の社外取締役監査等委員としての業務も兼任している。