2020.04.22

コロナと不動産賃貸

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、不動産賃貸に関する相談が飛躍的に増えていますので、法的解釈等についてポイントを絞って説明させて頂きます。

まず、新型コロナウイルスによる収益減少を理由として、賃借人が賃料の支払いができなくなったとしても、法的な原則論としては、金銭債務は不可抗力を理由として支払いを拒絶できないとされています(民法419条3項)。
そのため、仮に新型コロナウイルスに伴う収益減少が不可抗力と評価されたとしても、賃貸借契約に特別な条項がない限り、賃料未払いは債務不履行と評価されることが原則と言えそうです。

次に、業種によっては、都知事からの施設の使用制限等(特別措置法45条2項等)を受けて、営業停止をせざるを得ない場合もあります。
このように賃借人が実質的に貸室を利用できない状況においては、当然に賃料は減額されるのでしょうか。

この点、賃貸借契約書の定めにもよりますが、2020年4月1日より施行されている改正民法における「一部滅失と賃料減額」(改正民法611条1項)の問題意識になりそうです。
具体的には、施設の使用制限について、「賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益ができなくなった場合」に該当するかという視点です。

自粛要請であれば、法的にはあくまで「賃借人の判断として」施設を利用していないものにすぎず、上記要件には該当しないという理解が一般的と思われます。
しかし、対象業種を特定した上で、上記制限までされた場合には、上記条文要件の「その他の事由」に該当するという法的評価もあり得るかもしれません。

上記以外にも様々な法的問題点が刻々と発生している上に、改正民法の施行されるタイミングと重なってしまったこともあります。
各案件に応じた法的解釈は極めて難解であることから、必要に応じて専門家のアドバイスを参考にされることをお勧め致します。

弁護士 鈴木 謙吾

弁護士 鈴木 謙吾

東京弁護士会

この記事の執筆者:弁護士 鈴木 謙吾

慶應義塾大学法学部卒。2005年に鈴木謙吾法律事務所を開設後、不動産関連の相談を多く受け持つ。 現在は50社以上の顧問先を抱え、慶應義塾大学法科大学院の非常勤教員を10年以上務めたほか、上場企業の社外取締役監査等委員としての業務も兼任している。