2021.07.19

賃貸マンションと防犯カメラ

先日、顧問先より、

「オーナーとして、マンションの入口付近に防犯カメラを設置しましたが、賃借人のプライバシーの観点で問題はないでしょうか。」

との質問を受けました。

不動産オーナーの皆様におかれて、所有されている賃貸物件には、防犯カメラを設置しているケースも多いかと思います。
対第三者の犯罪抑止の観点から望ましいことはもちろん、実際に使用(居住・オフィス)されている賃借人の違法行為や不適切な行動が判明した場合、防犯カメラ映像は有力な証拠となります。
他方、撮影の程度等によっては、賃借人からプライバシー侵害を主張され、逆に損害賠償責任等を負ってしまう可能性について、疑問や悩みを抱えているオーナーの方々もいるかもしれません。

プライバシー権については、侵害の程度が社会生活上受忍すべき限度を超えている場合には、損害賠償責任等が発生する可能性があります。
この点、社会生活上受忍すべき限度を超えているか否かの判断は容易ではなく、カメラの設置場所や映像の保存状況、設置目的等が総合考慮されて判断されることになります。

賃借人ではなく、近隣住民より、防犯カメラについてプライバシー侵害を主張された事案ではありますが、参考になりそうな裁判例を紹介させて頂きます。
東京地判平成27年11月5日は、結論として、防犯カメラ4台のうち1台についてプライバシー侵害を認めました。

事案としては、被告が所有するマンションの共用部分(庇)に防犯カメラ4台を設置したところ、近隣住民(原告)がプライバシー侵害を主張して、カメラの撤去及び損害賠償請求を求めたものです。
上記裁判例のポイントとしては、カメラごとに設置場所等の具体的事情を考慮した上で、生活状況を具体的に認識している程度によって違法性の判断が異なる旨を示唆している点と言えます。

上記の通り、防犯カメラ設置の際は、上記プライバシー侵害について十分に注意することが重要ですので、ご参考になりましたら幸いです。

弁護士 鈴木 謙吾

弁護士 鈴木 謙吾

東京弁護士会

この記事の執筆者:弁護士 鈴木 謙吾

慶應義塾大学法学部卒。2005年に鈴木謙吾法律事務所を開設後、不動産関連の相談を多く受け持つ。 現在は50社以上の顧問先を抱え、慶應義塾大学法科大学院の非常勤教員を10年以上務めたほか、上場企業の社外取締役監査等委員としての業務も兼任している。