2022.05.31

仲介手数料と広告料

先日、不動産オーナーである顧問先より、

「賃貸仲介会社(宅建業者)より、仲介手数料とは別に広告料の支払を希望されていますが、支払いについて問題はありますか。」

との相談を受けました。

宅建業法では、宅建業者が媒介行為等によって得るべき仲介手数料の上限額が定められています(宅建業法46条1項)。
宅建業者が上記制限を超えて報酬を取得することは法律上禁止されています(宅建業法46条2項)。

この点、東京地判平成25年6月26日にて、広告料の名目にて金員を取得する合意等は違法無効である旨が示されました。
宅建業者から広告料名目での支払いを促された賃貸人が宅建業者に広告料を支払う代わりとして、賃借人より礼金を受領し、これを広告料名目で宅建業者に支払っていた事案です。
裁判所は、礼金取得合意について、強行規定を潜脱する目的で仲介業者が広告料名目の金銭を取得するために定められたものであり、宅建業法に反し無効と判断しました。

なお、国土交通省が定める告示では、報酬上限額の定めに続けて、「ただし、依頼者の依頼によって行う広告の料金に相当する額については、この限りでない」としています。
しかし、東京高判昭和57年9月28日では、特に依頼者から広告を行うことの依頼があり、依頼者の承諾等があった場合に限り、広告料に相当する金員を受領できるとしており、広告料の受領について限定的に解釈しています。

上記の通り、仲介手数料の上限額を超える報酬の受領については原則として違法であり、広告料名目で授受する場合であっても十分な注意が必要といえそうです。
宅建業者にかかわらず、宅建業者と関わり合いのある不動産オーナーにもおかれましても、少しでも有益な情報となれば幸いです。

弁護士 鈴木 謙吾

弁護士 鈴木 謙吾

東京弁護士会

この記事の執筆者:弁護士 鈴木 謙吾

慶應義塾大学法学部卒。2005年に鈴木謙吾法律事務所を開設後、不動産関連の相談を多く受け持つ。 現在は50社以上の顧問先を抱え、慶應義塾大学法科大学院の非常勤教員を10年以上務めたほか、上場企業の社外取締役監査等委員としての業務も兼任している。