先日、顧問先より
「賃借人が行方不明になってしまいましたが、連帯保証人に賃貸物件の明渡を請求することは可能でしょうか」
とアドバイスを求められました。
この点、裁判例において、
「建物明渡義務は賃借人の一身専属的な義務であって、保証人が代わって明渡を実現できない。建物明渡についての保証債務は、明渡の不履行により、この義務が損害賠償義務に変ずることを停止条件として効力を生ずる」
等と判示されています(大阪地方裁判所・昭和51年3月12日)。
上記裁判例を考察すれば、連帯保証人に明渡義務はないと解釈され、連帯保証人に対して賃貸物件の明け渡しを請求することは困難と考えられます。
また、賃貸借契約書に「賃借人が行方不明になった場合は、連帯保証人が賃借人に代わって物件を明け渡す。」等の規定もありますが、上記裁判例の趣旨からすれば、無効と判断される可能性があることにも十分注意が必要です。
以上より、上記裁判例を重視すれば、連帯保証人に対して明渡義務までは認められない可能性が高いものの、賃貸人として明け渡しを受けることができなかった期間の金銭的な損害(賃料等)については十分に請求可能であると解釈することになろうかと 存じます。
弁護士 鈴木 謙吾
東京弁護士会
この記事の執筆者:弁護士 鈴木 謙吾
慶應義塾大学法学部卒。2005年に鈴木謙吾法律事務所を開設後、不動産関連の相談を多く受け持つ。 現在は50社以上の顧問先を抱え、慶應義塾大学法科大学院の非常勤教員を10年以上務めたほか、上場企業の社外取締役監査等委員としての業務も兼任している。


