2016.04.28

賃貸物件の修繕

先日、顧問先より、

「借りている不動産を必要に迫られて修繕してしまったのですが、この費用は払ってもらえるのでしょうか。」

という相談を受けました。

そもそも賃借物件について勝手に修繕等を行うことはできるのでしょうか。

一般的な賃貸借契約書には、修繕等について、賃貸人の承諾を要するという条項があり、同条項に違反した場合は契約解除事由にされることが多いです。
賃借物件について、賃貸人の承諾を得てから修繕等を行った方がよいことは間違いありません。

しかし、雨漏りがする場合など、賃貸人の承諾を得ることができない緊急の場合には、賃借物件を維持・保存するため、賃借人が修繕等を行うことも認められています。
賃借人は、修繕にかかった費用を民法上の「必要費」として、支出と同時に賃貸人に対して請求することができます(民法608条1項)。

また、上記と異なり、必要最小限の修繕を超える改修工事についても、民法上「有益費」として、その費用を賃貸人に請求できる場合もあります。
但し、「有益費」に該当するか、該当するとしてその価値が現存しているかについて、賃借人が立証しなければならない点には注意が必要です。

以上より、基本的には賃貸物件を修繕する場合には賃貸人の同意を得るべきですが、理由があれば必要費や有益費として認められる場合もあります。

但し、必要費及び有益費に該当するか否かの判断は容易ではありません。
修繕又は改修工事をするにあたっては、費用等の点を含め、事前に賃貸人と十分に協議することをお勧め致します。

弁護士 鈴木 謙吾

弁護士 鈴木 謙吾

東京弁護士会

この記事の執筆者:弁護士 鈴木 謙吾

慶應義塾大学法学部卒。2005年に鈴木謙吾法律事務所を開設後、不動産関連の相談を多く受け持つ。 現在は50社以上の顧問先を抱え、慶應義塾大学法科大学院の非常勤教員を10年以上務めたほか、上場企業の社外取締役監査等委員としての業務も兼任している。