先日、不動産関連の顧問先より、
「現在所有するビルのテナントから、明渡日を前倒ししたいと言われましたが、何か法的問題はありませんか。」
と相談がありました。
まず明渡期限を早めれば、借主には賃料負担が軽減されますが、貸主側にも次のテナントと契約さえできればデメリットはそれほどなさそうです。
しかし、借主が明渡期限に確実に退去することを前提としなければならず、仮に不測の事態が発生した場合には、新借主はもちろん賃貸人にとってもリスクを伴うことになります。
そのため、次のテナントが見つかることを大前提とするとしても、借主が確実に退去することに加えて、設置した動産等をどうするかが重要になります。
この点、借主の原状回復義務との関係で、新しい借主が初期費用を抑えるために現状有姿のまま借りたいと希望する場合もあります。
しかし、現借主が残した動産が壊れていて使い物にならない場合があります。
また使えないだけであれば捨てればよいのですが、その機械が原因で他に損害を与えてしまった場合もありました。
そこで、貸主としては現状有姿で新借主にそのまま引き渡す場合には、動産の瑕疵担保責任を免除したり、前借主と新借主との間で売買契約を締結させたりする等の方法によってリスクヘッジしておく必要があります。
以上の通り、テナントが退去する場合には、貸主としては、後日の紛争リスクを十分に検討した上で、注意深く行動されることをお勧め致します。
弁護士 鈴木 謙吾
東京弁護士会
この記事の執筆者:弁護士 鈴木 謙吾
慶應義塾大学法学部卒。2005年に鈴木謙吾法律事務所を開設後、不動産関連の相談を多く受け持つ。 現在は50社以上の顧問先を抱え、慶應義塾大学法科大学院の非常勤教員を10年以上務めたほか、上場企業の社外取締役監査等委員としての業務も兼任している。


