先日、顧問先より、
「土地を貸しているのですが、借主から建物の譲渡許可を求められました。築80年の建物なので許可したくありませんが、裁判になった場合、許可されてしまうのでしょうか。」
との質問を受けました。
まず、借地契約について、賃借権を譲渡する場合には、貸主の許可が必要です(民法612条1項)。
借地上の建物を譲渡する場合、借地権も譲渡することになりますので、やはり貸主の許可が必要となります。
そして、貸主が任意に許可しなかった場合、借主は、裁判所に対して許可を求めることができます(借地借家法19条1項)。
この点、平成4年7月31日までの借地権設定であれば、基本的には旧借地法が適用されることになります。
旧借地法では、借地期間について定めがない場合、法定の借地期間の途中で建物が朽廃すれば、その時点で借地権は消滅することになります(旧借地法2条1項但書)。
上記の築80年の建物の場合、近い将来において朽廃する可能性が高く、その場合、借地権は消滅することになります(期間の定めのない場合)。
また、通常、増改築禁止条項があり、借主からの買受人が大規模修繕の許可を貸主や裁判所に求めたとしても(借地借家法17条1項)、朽廃が間近の場合、許可がなされない可能性が高いです。
そのため、買受人が借地権を譲り受けたとしても、事実上、建物の利用は困難になりますので、裁判所は、そのような朽廃間近の建物に関する借地権譲渡の許可には消極的なのが通常です(東京高決平成5年11月5日等)。
とはいえ、借主から見れば借地権譲渡の許可を求める裁判を提起すること自体は可能であるため、仮に訴訟提起された場合には、上記の観点より主張立証することが必要となります。
少しでもご参考になりましたら幸いです。
弁護士 鈴木 謙吾
東京弁護士会
この記事の執筆者:弁護士 鈴木 謙吾
慶應義塾大学法学部卒。2005年に鈴木謙吾法律事務所を開設後、不動産関連の相談を多く受け持つ。 現在は50社以上の顧問先を抱え、慶應義塾大学法科大学院の非常勤教員を10年以上務めたほか、上場企業の社外取締役監査等委員としての業務も兼任している。


