2024.02.26

賃料増額請求

先日、㈱LegalOn Technologiesより依頼を受け、

「不動産の賃貸を行っているのですが、近年の地価等の上昇に伴い、現在のテナントに対する賃料が適正なものではないと考えています。賃料を増額することはできますか?」

等について、ウェブ上でコメントさせて頂きました。

https://chokoben.com/media/chinryozogaku_motomeru

上記の対応について、同コメントを引用抜粋させて頂きます。

まず、実務上、賃料増額請求を行った日を証拠として残しておくことが重要です。
将来的に賃料の増額幅が定まった場合には、賃料増額請求を行った日まで遡って現行賃料との差額を請求することが可能となるからです。

この点、賃借人が増額について争う場合には、自己が相当と認める額の賃料(現行賃料)を支払うことで、債務不履行責任を免れることができます(借地借家法32条2項本文)。
ただし、将来的な裁判等によって増額が決定した場合には、賃貸人は、その不足額に対して年1割の利息を請求することができます(借地借家法32条2項但書)。
賃料増額請求については、訴訟の前に調停を前置しなければならず(民事調停法24条の2第1項)、将来的な調停申立てを見据えて、不動産鑑定士による簡易鑑定を行っておくことも考えられます。

他方で、賃料増額請求によって、テナントが退去してしまうリスクもあります。
しかし、適正な賃料増額に応じないテナントについては退去してしまったとしても、新テナントを早期に獲得した方が経営的側面からすれば望ましいと考えられるケースもあるでしょう。
なお他の視点として、テナントの立退交渉を正面から進めた場合には、賃借人保護を重視する法規制によって、実務的には非常に紛糾するケースも多く、立退費用として今まで受け取ってきた賃料以上の支出をせざるを得ないこともあり得る点には注意が必要です。

また賃借人に対して、いきなり大幅な賃料増額を請求してもスムーズに進むケースは少ないです。
不動産価格等も緩やかに上昇していることが多いため、法的には増額タイミングを更新時期に合わせる義務はないものの、賃貸借契約の更新時期に少しずつ増額を求めていくと、交渉としてはスムーズに合意できることが多いように感じます。


弁護士 鈴木 謙吾

弁護士 鈴木 謙吾

東京弁護士会

この記事の執筆者:弁護士 鈴木 謙吾

慶應義塾大学法学部卒。2005年に鈴木謙吾法律事務所を開設後、不動産関連の相談を多く受け持つ。 現在は50社以上の顧問先を抱え、慶應義塾大学法科大学院の非常勤教員を10年以上務めたほか、上場企業の社外取締役監査等委員としての業務も兼任している。