先日、不動産オーナーである顧問先より、
「賃貸ビルについて賃料増額を検討していますが、直近合意時点とは何ですか。」
との質問を受けました。
賃料の増額請求をするためには、まずは、現時点の賃料相場をある程度正確に把握する必要があります。
この点、賃料の鑑定評価の重要なポイントとして、「賃料額に関する直近合意時点はいつか」という点が挙げられます。
鑑定においては、直近合意時点から現時点までの間の事情変更に係る要因の変動が考慮されます。
事情変更に係る要因を考慮する始点となる等の重要性から、継続賃料の鑑定評価においては、直近合意時点は鑑定評価書への必要的記載事項とされています。
この点、直近合意時点の解釈については、最高裁判例の考え方を踏まえる必要があります。
最判平成20年2月29日を踏まえますと、現行賃料について「現実の合意」があった時点が直近合意時点になるものと考えられます。
例えば、賃料改定の合意がないまま、契約を更新している場合には、更新時において、「現実の合意」があったわけではありません。
そのため、現行賃料について現実の合意があったときが、直近合意時点となります。
以上の通りですが、賃料増額請求等に関して少しでもご参考になりましたら幸いです。
弁護士 鈴木 謙吾
東京弁護士会
この記事の執筆者:弁護士 鈴木 謙吾
慶應義塾大学法学部卒。2005年に鈴木謙吾法律事務所を開設後、不動産関連の相談を多く受け持つ。 現在は50社以上の顧問先を抱え、慶應義塾大学法科大学院の非常勤教員を10年以上務めたほか、上場企業の社外取締役監査等委員としての業務も兼任している。


