2025.04.25

賃料改定特約と変動基準

先日、不動産オーナーである顧問先より、

「賃料を一定期間ごとに自動的に増額したいのですが、そのような特約も可能でしょうか。」

との質問を受けました。

実際の賃貸借契約においても、賃料を一定期間ごとに自動的に増額改定する特約等が置かれているケースはあります。
この点、そのような特約であっても、その内容が賃料増減請求権に係る条項の趣旨を逸脱するような不合理なものでなければ有効と考えられます(最判平成15年6月12日参照)。

上記の裁判例では、骨子として、下記のような条項が規定されていました。

  • 本賃料は3年ごとに見直すこととし、第1回目の見直し時は当初賃料の15%増、次回以降は3年ごとに10%増額する。
  • ただし、物価の変動、土地、建物に対する公租公課の増減、その他の経済状態の変化により甲(被上告人)・乙(上告人)が別途協議するものとする。

この点、特約として法的に有効であったとしても、賃借人の合意を得る必要があり、特に理由なく単純に増額する旨の規定では、賃借人の理解を得ることは難しいのが現実です。
上記最判の具体例においても、その後の事情変更等を理由に、結論として減額請求権の行使を妨げないと判断していることには注意が必要です。

そのため、どのような変動基準によって賃料改定特約を規定するのかが重要なポイントになってきます。
この点、一つの具体例として、路線価の変動に関連させたものを紹介します(神戸地判平成元年12月26日)。

骨子として、特約の内容は下記の通りでした。

「賃料は、土地の北側道路部分に設定される毎年の路線価の増減率に応じて毎年10月1日に当然に増減するものとする。」

賃料を前面道路の路線価の変動に合わせて改定する特約は比較的よく見られます。
このような特約は、賃料増減請求権の考慮要素の一つである土地価格を参照して賃料の増減をするものであること、また、改定後の賃料を一義的に算出できるものであることから合理的と考えられます。
もっとも、当然ながら路線価が減少すれば賃料も減額となってしまう点には注意が必要です

以上の通りですが、少しでもご参考になりましたら幸いです。

弁護士 鈴木 謙吾

弁護士 鈴木 謙吾

東京弁護士会

この記事の執筆者:弁護士 鈴木 謙吾

慶應義塾大学法学部卒。2005年に鈴木謙吾法律事務所を開設後、不動産関連の相談を多く受け持つ。 現在は50社以上の顧問先を抱え、慶應義塾大学法科大学院の非常勤教員を10年以上務めたほか、上場企業の社外取締役監査等委員としての業務も兼任している。